金. 1月 24th, 2025

スレッドとは

スレッドとは、プログラム内で実行される独立した処理の流れのことを指します。一つのプログラム内で複数のスレッドを生成することで、複数の処理を並行して実行することが可能になります。これをマルチスレッドと呼びます。

Javaでは、ThreadクラスやRunnableインターフェースを利用してスレッドを作成します。スレッドの実行はstartメソッドによって開始され、runメソッドがそのスレッドの主要な動作を定義します。

スレッドは以下のような状況で使用されます:

  • ユーザーインターフェースの応答性を保つため
  • バックグラウンドでの長時間実行する処理
  • 複数のタスクを同時に実行するため

スレッドの使用はプログラムの複雑さを増す可能性がありますが、適切に使用するとパフォーマンスの向上やユーザーエクスペリエンスの改善につながります。ただし、データの一貫性を保つためにはスレッド間でのデータ共有や同期の問題を適切に管理する必要があります。これらはJavaのSynchronizedキーワードやwaitnotifyメソッドなどを用いて制御することが可能です。

runメソッドの基本的な使い方

Javaのrunメソッドは、スレッドが実行するタスクを定義します。ThreadクラスまたはRunnableインターフェースを実装することで、runメソッドをオーバーライドして独自の処理を記述することができます。

以下に、runメソッドの基本的な使い方を示します。

class MyRunnable implements Runnable {
    public void run() {
        // ここにスレッドで実行したい処理を書く
        System.out.println("スレッドが実行中です");
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        // Runnableを実装したクラスのインスタンスを生成
        MyRunnable myRunnable = new MyRunnable();

        // Threadのインスタンスを生成し、Runnableを渡す
        Thread thread = new Thread(myRunnable);

        // スレッドを開始
        thread.start();
    }
}

このコードでは、MyRunnableクラスがRunnableインターフェースを実装しており、runメソッドをオーバーライドしています。runメソッド内には、スレッドで実行したい処理を記述します。

mainメソッドでは、まずMyRunnableのインスタンスを生成し、次にそのインスタンスを引数に取るThreadのインスタンスを生成しています。最後に、Threadstartメソッドを呼び出すことで、新たなスレッドが開始され、runメソッド内の処理が実行されます。

なお、runメソッドを直接呼び出すと、新たなスレッドは生成されず、現在のスレッドでrunメソッドが実行されます。新たなスレッドを生成してrunメソッドを実行するには、必ずstartメソッドを使用する必要があります。これはJavaのマルチスレッドプログラミングにおける重要なルールの一つです。

ThreadクラスとRunnableインターフェイス

Javaでは、マルチスレッドプログラミングを実現するためにThreadクラスとRunnableインターフェースが提供されています。

Threadクラス

Threadクラスは、スレッドを表すクラスで、新たなスレッドを作成するためにはこのクラスのインスタンスを生成します。Threadクラスはrunメソッドを持っており、このメソッドをオーバーライドすることでスレッドが実行する処理を定義します。

class MyThread extends Thread {
    public void run() {
        System.out.println("新しいスレッド");
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        MyThread myThread = new MyThread();
        myThread.start();
    }
}

このコードでは、MyThreadクラスがThreadクラスを継承しており、runメソッドをオーバーライドしています。mainメソッドでは、MyThreadのインスタンスを生成し、startメソッドを呼び出すことで新たなスレッドが開始されます。

Runnableインターフェイス

Runnableインターフェイスは、スレッドが実行する処理を定義するためのインターフェースです。Runnableインターフェイスを実装したクラスのインスタンスをThreadクラスのコンストラクタに渡すことで、そのインスタンスのrunメソッドが新たなスレッドで実行されます。

class MyRunnable implements Runnable {
    public void run() {
        System.out.println("新しいスレッド");
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Runnable myRunnable = new MyRunnable();
        Thread thread = new Thread(myRunnable);
        thread.start();
    }
}

このコードでは、MyRunnableクラスがRunnableインターフェイスを実装しており、runメソッドをオーバーライドしています。mainメソッドでは、MyRunnableのインスタンスを生成し、そのインスタンスをThreadクラスのコンストラクタに渡しています。そして、startメソッドを呼び出すことで新たなスレッドが開始されます。

Threadクラスを直接継承する方法とRunnableインターフェイスを実装する方法のどちらを選ぶかは、プログラムの要件や設計によります。ただし、Javaではクラスの多重継承が許されていないため、既に他のクラスを継承しているクラスにスレッドの機能を追加する場合は、Runnableインターフェイスを実装する方法を選ぶことが一般的です。

スレッドの実装方法

Javaでは、スレッドを実装するための主な2つの方法があります:Threadクラスを継承する方法とRunnableインターフェースを実装する方法です。

Threadクラスを継承する方法

まず、Threadクラスを継承した新しいクラスを作成します。そして、そのクラスでrunメソッドをオーバーライドします。runメソッド内には、スレッドで実行したい処理を記述します。

class MyThread extends Thread {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行したい処理
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Thread thread = new MyThread();
        thread.start();  // スレッドを開始
    }
}

Runnableインターフェースを実装する方法

Runnableインターフェースを実装したクラスを作成します。そのクラスでrunメソッドをオーバーライドし、スレッドで実行したい処理を記述します。その後、そのRunnableを引数に取るThreadクラスのインスタンスを作成し、startメソッドを呼び出してスレッドを開始します。

class MyRunnable implements Runnable {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行したい処理
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Runnable runnable = new MyRunnable();
        Thread thread = new Thread(runnable);
        thread.start();  // スレッドを開始
    }
}

これらのどちらの方法を選ぶかは、具体的な要件や設計によります。ただし、Javaではクラスの多重継承が許されていないため、既に他のクラスを継承しているクラスにスレッドの機能を追加する場合は、Runnableインターフェースを実装する方法を選ぶことが一般的です。また、ラムダ式やメソッド参照を使用する場合も、Runnableインターフェースを利用します。これにより、コードの簡潔さと可読性が向上します。これらの詳細については、次のセクションで説明します。

マルチスレッドプログラミングの基本

マルチスレッドプログラミングは、複数のスレッドを同時に実行することで、プログラムのパフォーマンスを向上させるための一般的な手法です。Javaでは、ThreadクラスやRunnableインターフェイスを用いてマルチスレッドプログラミングを行います。

スレッドの作成と開始

新しいスレッドを作成するには、Threadクラスを継承するか、Runnableインターフェイスを実装します。そして、そのクラスのインスタンスを作成し、Threadクラスのstartメソッドを呼び出すことでスレッドを開始します。

// Threadクラスを継承
class MyThread extends Thread {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行したい処理
    }
}

// Runnableインターフェイスを実装
class MyRunnable implements Runnable {
    @Override
    public void run() {
        // スレッドで実行したい処理
    }
}

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        Thread thread1 = new MyThread();
        Thread thread2 = new Thread(new MyRunnable());

        thread1.start();  // スレッドを開始
        thread2.start();  // スレッドを開始
    }
}

スレッドの終了

スレッドは、runメソッドの実行が終了すると自動的に終了します。また、スレッドは他のスレッドから中断することができます。これにはThreadクラスのinterruptメソッドを使用します。

thread1.interrupt();  // スレッドを中断

スレッドの同期

マルチスレッドプログラミングでは、複数のスレッドが同時に同じリソースにアクセスすると問題が発生する可能性があります。これを防ぐために、Javaではsynchronizedキーワードを使用して、一度に1つのスレッドだけが特定のコードブロックにアクセスできるようにします。

synchronized(object) {
    // 一度に1つのスレッドだけがこのブロックにアクセスできます
}

以上が、Javaにおけるマルチスレッドプログラミングの基本的な概念と手法です。これらを理解し、適切に使用することで、効率的な並行処理を実現することができます。ただし、マルチスレッドプログラミングは複雑で、デッドロックやレースコンディションなどの問題を引き起こす可能性があるため、注意深く取り組む必要があります。これらの詳細については、次のセクションで説明します。

同期呼び出しと非同期呼び出し

同期呼び出しと非同期呼び出しは、プログラムがタスクを実行する方法を表す重要な概念です。これらの概念は、特にマルチスレッドプログラミングや並行処理のコンテキストで重要となります。

同期呼び出し

同期呼び出しは、一つのタスクが完了するまで次のタスクが待つ方式を指します。つまり、タスクが順番に実行され、一つのタスクが完了しないと次のタスクは開始されません。

System.out.println("タスク1開始");
task1();  // タスク1の実行
System.out.println("タスク1完了");

System.out.println("タスク2開始");
task2();  // タスク2の実行
System.out.println("タスク2完了");

このコードでは、task1が完了するまでtask2は開始されません。これが同期呼び出しの特徴です。

非同期呼び出し

一方、非同期呼び出しは、一つのタスクが完了するのを待たずに次のタスクを開始する方式を指します。つまり、複数のタスクが並行して実行されます。

Javaでは、非同期呼び出しは主にスレッドを使用して実現されます。

Thread thread1 = new Thread(() -> {
    System.out.println("タスク1開始");
    task1();  // タスク1の実行
    System.out.println("タスク1完了");
});

Thread thread2 = new Thread(() -> {
    System.out.println("タスク2開始");
    task2();  // タスク2の実行
    System.out.println("タスク2完了");
});

thread1.start();  // タスク1の開始(非同期)
thread2.start();  // タスク2の開始(非同期)

このコードでは、task1task2はそれぞれ別のスレッドで実行され、これらのタスクは互いに独立して並行して実行されます。これが非同期呼び出しの特徴です。

同期呼び出しと非同期呼び出しは、それぞれ異なる利点と適用シーンがあります。同期呼び出しはプログラムの流れが直感的で理解しやすい一方、非同期呼び出しはタスクの実行を最適化し、パフォーマンスを向上させることができます。ただし、非同期呼び出しはタスク間の競合やデータの不整合など、新たな問題を引き起こす可能性があるため、適切な設計と実装が求められます。これらの詳細については、次のセクションで説明します。

By jakoten

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